王将

王 将

 

 下北沢、楽園というキャパ80席の極小の劇場で北条秀司の「王将」をやる。これははっきり言って無謀である。しかしこの無謀なことにあえて挑戦した新ロイヤル大衆舎のメンバーとスタッフ・キャストに心から敬意を表します。本当に素晴らしい舞台でした!

  何が素晴らしいかといえば、色々あるのですが、この「楽園」というキャパ80席の劇場で「王将」をやる訳ですから本当に色々な工夫がなくては出来ないのです。通天閣がミニチュアだったり、その下をミニチュアの汽車が走ってみたり、登退場口に色々な細工をしてその先にも何かがあるように見せたり……。とにかく色々な想像力を駆使して舞台を作っているわけです。これだけでも頭が下がる思いなのですが、一部二部三部計6時間の上演時間の間、出番のない役者は楽屋には留まってはいられず、路上にたむろしていたそうです。いやぁ〜、本当にお疲れ様でした!

役者のことを話すと、主役の福田転球がホントに坂田三吉になってまして、これは間違いなく福田転球の当たり役でしょう!(笑)

演出の長塚圭史がずっと福田転球にこの役をやらせたかったそうでその意味がよくわかります。

そしてこの転球を支える脇の役者陣が本当にいい仕事してますのやわ〜!新ロイヤル大衆舎のメンバー(大堀こういち、山内圭哉、長塚圭史)はもちろん、常盤貴子、江口のりこ、弘中麻紀、高木稟等々……。

坂田三吉の将棋への飽くなき探究心というか純粋な「将棋への想い」というものに何度か胸がいっぱいになり、目頭が熱くなりました。

何度も死に物狂いで戦っては敗れ、その度に身内や周りに迷惑をかけ、あるいは身内を不幸にし、妻の死に目にも会えず、もう将棋なんかやめる!二度としないと言ってるそのそばから将棋盤を睨んでさっき負けた将棋のことを考えている。世間一般にはダメ人間ってことになるのかもしれませんが、そんな坂田三吉に僕は軽い嫉妬を覚えます。だってこんなに純粋に何かに打ち込める人って凄いですよ!僕は果たして坂田三吉の何分の一くらい芝居に打ち込んでいるんだろう。まだまだ、まだまだ……だなぁ〜と、芝居を観ながら熱い想いがこみ上げてきました。