josai

城 塞

 

 拒絶症という心の病により、父親はある時を境に時間が止まったまま廃人のように呆けて十数年、ある部屋に幽閉されていた。ところがある時期から一日のある時間が来ると発作が起きて(ここが面白いのだが)意識がはっきりして「あの日のあの時間」に戻る。そしてそれをもう何百回も繰り返しているのだ。

「あの日」というのは男(主人公ーこの家の長男)の妹が父親の前で服毒自殺をした日である。

男は父のために下僕や妻を使って「あの日」の芝居を打ち続けて来た。ところが妻も精神的限界を感じ、もう妹役をしたくないと言い出す。そこで男は下僕に頼んで、ある女を雇うことにする。実はこの女、ストリッパーなのであるが、この女が面白い。エロス!エロスそのもの。この女がこの家の厳格な秩序を徐々に壊し始めていくのである……

最後の三十分が圧巻だった!

壊される側と壊す側。

壊される、恐怖と不安と痛み。

壊す、快感!快感!

心の分厚い城壁を壊される「恐怖」と「快感」をこのたった五人の演者にこれでもかと言わんばかりに味合わされた夜だった。